最もシンプルな量子力学系である量子ビット系を概説する。
量子ビット系
一度の測定で識別可能な状態の個数が最大2個であるような量子力学系を量子ビット系 (qubit system) あるいは量子ビット (qubit) という。
量子ビット系の状態
量子ビット系の状態 (state) は C2 の単位ベクトル ∣ψ⟩ で表す。
where∣ψ⟩∥ψ∥2∈C2=1
特に古典ビットにおける 0,1 に対応する状態は、それぞれ次のように表される。
∣0⟩∣1⟩=[10]=[01]
量子ビット系の計算基底
計算基底 (computational basis) は C2 の正規直交基底 {∣ϕ0⟩,∣ϕ1⟩} で表す。
where∣ϕ0⟩∣ϕ1⟩⟨ϕ0∣ϕ1⟩∈C2∈C2=0
量子ビット系の測定
状態 ∣ψ⟩ に対して計算基底 {∣ϕ0⟩,∣ϕ1⟩} による測定を行なったとき、測定値 0,1 の得られる確率はそれぞれ ∣⟨ϕ0∣ψ⟩∣2,∣⟨ϕ1∣ψ⟩∣2 で与えられる。
∣⟨ϕ0∣ψ⟩∣2∣⟨ϕ1∣ψ⟩∣2の確率での確率で01
絶対値の中の ⟨ϕi∣ψ⟩ は確率振幅 (probability amplitude) と呼ばれる。
重ね合わせの原理
量子ビット ∣ψ⟩ はベクトルで表記されているため、状態同士を足し合わせて、2つの状態が重なり合ったような状態を作ることができる。これを重ね合わせの原理 (superposition principle) という。
∣ψ0⟩+∣ψ1⟩=∣ψ2⟩
重ね合わせて作られた状態 ∣ψ2⟩ を重ね合わせ状態 (superposition state) という。